STYLIST’S VIEW

「せっかく小顔なのに、なんだか頭が大きく見えるな……」。彼女を初めて見たとき、そう思ったんです。
髪を伸ばしたいというリクエストを彼女は、持っていたけれど、内側に不自然な削ぎがたっぷり入っていて、そのまま伸ばしてもキレイなロングヘアにはならない状態。僕は切った直後だけでなく、髪が伸び始めてからも彼女にキレイでいて欲しいと思ったから、「伸ばしていく」ために、今回は、あえて短くカットすることを選びました。
本当のナチュラルビューティを
極めたい
極めたい

僕が思う女性の美しさで欠かせないのは、ナチュラルさ。それも「自然体です!」って頑張ってるような不自然な感じではなく、「起き抜けのベッドの上でも美しい」本当の自然さ。今回は、繊細な色彩感覚を持つ美大生だから、カラーも絵のように、そして光を上手に操れるように内側にポイントカラーを入れました。色は、髪が動いたときに内側から香り立つように見えるカシス系。絵に向かうときは髪をひとつにまとめることが多いと言っていたから、まとめたときは、すうっと凛としたように見える位置を計算しました。眠い目をこすりながら髪に手ぐしを通したときも、表現することに真剣にキャンバスに向かうときも美しい。結局、僕は、いつも美しくいて欲しいのかもしれない。



アイロンを使ってのスタイリングを否定するわけではないけど、彼女がアイロンを使わないとヘアスタイルが再現できないのなら、それは強要したくないんです。だって、素人の女性がプロの美容師の僕より上手に髪は巻けないでしょ(笑)。アイロンがないと再現できない時点で、再現性は難しいものになっているということだから。家で何もしなくても僕がやったような仕上がりにしてあげたいんです。
HAIR STYLE








AFTER THE BEAUTY AWAKE
最近は情報が豊富な分、女性が受け入れられるデザインの幅自体は広くなってきている感じがします。でも、女性ってヘアそのものだけではなく、パーソナルな部分で、NGのものが多い(苦笑)。それは、どれだけ幅が広がったとしても、きっと同じなんでしょうね。僕は、ただ形を切るだけじゃなく、いろんなことを考えながら切っています。だから。身を委ねて欲しい。委ねてくれたら、きっと、まだまだ出会ったことのないヘアスタイルに出会えると思うんだけどな。
森 福充 HEAVENS ディレクター
'78年生まれ 福島県出身 詳しいプロフィールはこちら
