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人を育てるとは
いろいろな栄養を与えること

小説家、映画監督として活躍する安藤桃子さんと、美容師という仕事を通して他者と人生の醍醐味を共有する赤松美和さん。フィールドは異なれど、「直感」を信じて、クリエイトし続けている彼女たちの対談から見えてくるものとは?

赤松 桃子さんは、今、お子さんがいてロックになれないっておっしゃっていたけれど、子どもの存在ってすごいですよね。大好きなお酒も我慢できちゃうんでしょ?

安藤 ときどき呑みたいって思うけれど、子どもの存在感が強すぎて(笑)、お酒を呑むより面白いからかな? 呑まずにいられる。人の中に人がいるっていう妊婦の状態って本当に不思議。

赤松 桃子さんの子育て論を聞いてみたいです。

安藤 どうなるか、どうするのかは未知数ですね。でも※1母が教えてくれたことを、わが子にも受け継ぎたいなと。

赤松 自分がされてきたようにとは?

安藤 昔、子育てについて母が話してくれたことがあるんです。子どもって、小さいうちは、何の種かわからない存在だと。ジャガイモなのかユリなのか。

赤松 ジャガイモ? ユリ?

安藤 たとえですけど。ジャガイモの種に、ユリのための土や栄養を一生懸命与えても、芽はまったく伸びない。逆もしかり。

赤松 なるほど。確かにそうですね。

安藤 子どもは無限大のポテンシャルを持っているはずで、なんの種なのかわかるまでいろいろな栄養や環境を用意することが大切なのかなと。

赤松 なるほど〜。

安藤 いろいろな栄養を試して、ピュンッと芽が出たときに、「そうか、この子はジャガイモだったのか!」とわかる。そうしたら、世界一のジャガイモにだってなれる。

赤松 面白いですね! それに、すごく納得できる!

安藤 私はそうやって育ったんだなって、母に感謝しています。

赤松 いろいろな栄養を与えられてきたんですね。その結果映画監督になられた。

安藤 親から「こういう仕事についてほしい」と要求されたことはなかった。正直勉強は全然できるほうではなかったですが、「テストで何点とれ」とは言われなかった。でも努力をしていないと思いきり叱られました。

赤松 そういう教育を受けてきた桃子さんが映画の道を選ばれているのは面白いですね。桃子さんも和津さんのようにお子さんにいろいろな栄養を与えていくのでしょうね。

安藤 子どもがどういう個性を持っているかは未知数だから、私も母のしてきたようにいろいろなものを吸収できる土壌を最大限与えられたらと思っています。

赤松 高知で育てるのですか?

安藤 高知で育てようと思っています。ただ、いろいろなところに連れて行こうとも思っています。たぶん、「子どもと離れたくない自分」になる気がする。私も親が行くいろいろなところについて行ったし、連れて行ってもらったし。

赤松 子どもってまわりのいろいろな大人たちから、いろいろなことを吸収しますものね。

安藤 それに子どもって大人が思うよりもたくさんのことを覚えている。子どもの記憶ってすごいですよね。赤ちゃんのときの子守唄とその安心感も、母が仕事で留守のとき寂しくて眠れなかったことも覚えています。寂しさや不安も、すべて愛という土台があってこそ、栄養になるのかなと思います。

※1 安藤桃子監督のお母さまは、エッセイストとしても活躍する安藤和津さん。

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