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涙は恥ではない

上原 先生の作品は、テーマが一貫していて、人間に共通したものを伝えているように思います。

松本 生きるために大切なこと、何のために生きているのかというのがテーマですね。

上原 どの主人公も媚びずに、王道を進んでいるというのが好きです。

松本 「涙は恥ではない」ということ。泣いてもいいがあきらめるなよと。あきらめるのが一番恥です。要するに伝えたいのは、自分の目的意識を消すことが最も恥ずかしいこと。

上原 今、美容師は離職率が高いんです。途中で目的意識を消してしまう人がいる。

松本 辛いときは、どんな人の人生にもきっとある。でも辛いときが、逆に言うと一番の学習なんです。それに耐えて次の段階に行くわけですよね。漫画家もみんなそうなんですよ。食うのに困ったり、恥ずかしいときもある。しかしそこで歯を食いしばっていく。やっぱり志を貫いた友人たちはみんな本物になりましたよ。

上原 あきらめない、その揺るがない思いの芯になっているのは、何ですか? 

松本 いろいろあると思いますけれど、戦後、朝日新聞西部本社の真ん前のボロ長屋に住んだんです。そのころの屈辱的なことをね、子どものころのこと。覚えているんですよね。「おまえらは成り上がったんではなくて成り下がったんじゃあ」と近所の人に言われたりね。当時は、八百屋をやっていて、母親は野菜を売っていたのですが、そんな言葉をかけられてこっちを向いたときの母親の形相のものすごさ。ああいうのがね、男心に刻まれているんでしょうね。俺がおるから、泣くな母ちゃん。俺がおるから大丈夫だ、と。そういう思いですよね。

上原 傷つくような言葉をかけられても泣き顔を見せない、そのお母さまの姿に先生は、くじけてなるものかという思いを持たれたのですね。

松本 「今に見ておれ、いつの日にか」というあの思いが、心の中の火として燃えているんですよね。だからあの体験は、自分にとっては物を描く中ではいい素材になっているわけです。本当の屈辱的な思いですからね。

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