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LIKE IT! HAIR CATALOG JP THE ERCOMMENDED Vol.25 CroesuS

ティータイムを「目で味わう時間」に変える
うっとりするほど美しい工芸茶

Doubleのスタイリスト増山聡子さんが「LIKE IT!」アイテムとしてセレクトしたのは工芸茶の発明者・汪 芳生(おう ほうせい)氏が手がける「康藝銘茶(こうげいめいちゃ)」。日本ではここでしか手に入らないこの美しいお茶の魅力を探るために、銀座クロイソスにお邪魔しました。

 大人になるにつれて手の込んだもの、手仕事のよさが感じられるものに自然と惹かれるようになってきました。そんなタイミングで出会ったのが工芸茶。最初は台湾のお土産でもらったり、中国茶専門店で見かけたりして気になっていたのですが「それよりもすごいよ!」と知人に教えてもらったのがクロイソスの「康藝銘茶」。そこで今回は、日本で唯一の直営店である銀座店にお伺いしてお話を聞きました。

工芸茶だけで120種類近く!
選ぶのに迷うのも楽しいひととき

 お湯を注ぐとポットの中で花などが開いていく工芸茶。中国のお茶の歴史は長いように思いますが、そもそも工芸茶はいつからあるのですか?
「クロイソスで扱っている『康藝銘茶』は、実はそれほど歴史が長いわけではなく、1986年に安徽省黄山の汪 芳生(おうほうせい)氏によって発案されました。工芸茶は、職人がひとつひとつ丹精込めて手作りした芸術品。一般的には工芸茶と呼ばれていますが、汪氏は、体にもよく芸術的にも価値が高い銘茶であるという思いを込めて『康藝銘茶』と呼んでいます」

 30年くらいの歴史なんですね。思いのほか、歴史が浅い!
「よかったらお茶をご用意したので飲んでみてください」

  • 注ぐお湯は、沸騰したものを。ぬるいとキレイに開かないので注意。
  • 沸騰したお湯を注いで、ゆっくりと2〜3分で全体に花が開きます。
  • 1つの工芸茶で2〜3人分の量。差し湯をして3煎目くらいまでおいしく楽しめます。

 みるみる開いていくさまがドラマティックで感動的! 飲んでみるとさっぱりとした口あたりなのにふわりと香りが残り、すごく上品。お茶受けに用意していただいたこちらのお菓子も可愛くて、おいしいですね。
「お茶の味を引き立て、お互いがよりおいしく味わえるようにと全国からいろいろなお菓子を取り寄せて、オーナーが最終的に選んだのがこの2つです。白い氷のような一品は、大阪の四天王寺の参道にある和菓子店『河藤』の『割氷』というお菓子。こちらは緑茶に合います。もう一品は『ケーク・ド・コーキ』の『ホロホロクッキー』です。ほろほろとした食感と繊細な味わいのクッキーは、紅茶に合いますよ」

『康藝銘茶』は、どのようにいれるのがいいのですか?
「日本の緑茶は、渋味を抑えてうま味を引き出すように80℃ぐらいの低温でいれるのがいいと言われていますが発酵度の高い工芸茶は熱湯でいれるのがおすすめです。茶葉の動きや形がよく見えるので耐熱ガラスのポットなどが適しています。やや高い位置から熱湯を注ぎ入れたら、茶葉の様子を目で味わい、動きが落ち着いたら飲みごろです。だいたい1つの工芸茶で1ℓ、2〜3人分が一度にいれられて、差し湯をしながら3煎目くらいまでがおいしく飲める目安です」
 こんなに美しいと飲むのがもったいなく感じてしまいますね。それに飲み終わったあとも、なんだか捨てるのがもったいない気がします。

「味わい終わったら、水中花としても楽しめるのが工芸茶のよさです。ガラスの器に入れて、毎日、水道水を入れ替えれば1週間ほど目で楽しむことができます。そのあとは、しっかりと乾燥させてオーガンジーやガーゼの袋などに入れれば、お茶のカテキン効果で消臭ポプリとして利用できます」
 手をかけることで、最初から最後の最後まで楽しむことができるんですね。

美容師の仕事と通じる
技術、センス、アイデア……

 店内には、さまざまな形状の『康藝銘茶』がありますが、これはすべて手作りなのですか?
「すべて手作りです。手作業でしか作れないのが『康藝銘茶』です。発案者である汪氏は、もともと茶園主の5代目として生まれ、あるとき自分の母親が、チンゲン菜をぎゅっと束ねて干し野菜を作っているのを見て、お茶を束ねることを思いついたそうです。クロイソスで扱っている『康藝銘茶』は、茶葉を束ねるために、日本から持ち込んだクラビオンという糸を使っています。クラビオンは、カニ殻やエビ殻、昆虫類、菌類に含まれる抗菌効果を持つ天然成分であるキチン・キトサンから作られています。茶葉は、オーガニック認定を受けた畑で栽培される特級の茶葉を使用しています。摘みとった茶葉をすぐに加工するため制作は春から初夏にかけての限られた季節のみ。数も限られています」

 安心できる材料で作られていて、美しくておいしい。しかもひとつひとつのお茶は、花束以外にも、女の子や竜、鳥、魚、ネコなどユニークなかたちのものがあって、健康や長寿、富や尊敬を願う気持ちなどそれぞれに意味やメッセージも込められているのですね。アイデアを形にできる技術がなせる技。そしてそこに思いものせる。なんだか手仕事の美容師と通じるものがあるような気がします。
「『康藝銘茶』は、優雅で気品のあるその素晴らしさから、中国政府によって、外交のための献上品(国礼茶)にも選ばれています。汪氏の工房は中国の山深い奥地にあるのですが、その技術を学ぼうと職人が弟子入りするようです。技術は継承されていくもの。アルバイト感覚でできるものではないようです。自然環境に恵まれた高山で摘んだ茶葉の中から特選茶葉だけを使い、300種類の花の品種を改良し、特殊な加工方法で天然の花や果実などを使って、手間暇かけてこしらえたこだわりの『康藝銘茶』。ぜひ、みなさんの日々の生活の中に取り入れて、ホッとできる、リラックスできるひとときを味わっていただきたいですね」

おもてなしの気持ちが
心を豊かにしていく

 これまでお茶というと、喉の渇きを癒すために飲むことが多かったけれど、『康藝銘茶』を知ると、自分がお茶を飲む時間も、そして誰かとお茶を楽しむ時間も、おもてなしに変わるような気がします。ポットの中で茶葉が開いていく様子からは、お客さまの髪をカットしていくときの気持ちに重なるものがありました。前髪を少し切って、似合う長さを見つける。顔まわりをカットし終えて、顔が明るくなっていく。その変化を一緒に楽しむ。一緒に変化を見ながら美しくなっていく。そして何よりもいちばん強く感じたのは「おもてなし」の心です。

「そうですね。ただ水分を補給するためだけならば、こんなに手の込んだものである必要がありませんものね。クロイソスのオーナーの合田由佳は、かつては専業主婦だったそうです。たまたま旅行雑誌で見かけた工芸茶の魅力に惹かれ、その後、中国へ行くたびに買い求め、子育てが一段落したころに工芸茶の魅力をもっと広げたい、との思いから、ゼロからビジネスを学び、今のクロイソスをつくりました。一つ数百円程度のリーズナブルな『康藝銘茶』ですが、人と人を結びつけるものとして、クロイソスはこれからも工芸茶の魅力を伝えていきたいと思いますので、みなさんの暮らしの中でも、ぜひ、楽しんでいただけたらと思います」

クロイソス 銀座店

住所:東京都中央区銀座7-10-10
TEL:0120-196-104
営業時間:11:00~20:00
定休日:不定休
http://www.mercure.jp

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