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Legare 木村重成さん 編集後記

2022.12.19

 今回取材をさせていただいたのは広島市に店舗を構えるLegareの代表 木村さん。
お店の扉が開くなり真っ先に出迎えてくれたのは、木村さんの愛犬。スタッフの皆さんを率いているかのようでなんとも可愛らしい。多くのスタッフさんがお迎えしてくださったにも関わらず、緊張してしまうような空気が全くなかった。不思議とぱっと明るく和やかな気持ちになり、すっかり居心地がよくなっていることに一瞬にして気付かされる。
その空気感はモデルさんの施術をしていらっしゃるときでも、終始一定に感じられた。

モデルさんとは多く会話をしているようで、どんな髪の毛のお悩みを感じているか聞き出したり、こんな髪のクセがあるからここはこうしてみるのはどうかなというような提案をしていた。モデルさんのプライベートの話では、まわりのスタッフさんも一緒に盛り上がり楽しそうにお話しされている姿が見られて、こちらも思わず笑みがこぼれるほどだった。
 そんな空気は動物にも伝わるのか、木村さんの愛犬はとても人懐っこい。「この子もみんなと一緒に接客してると思っているみたいで(笑)」本当にスタッフの一員のように、お店の中を一緒に歩いて回っては、気づくと誰かの腕の中で一休みしている。その姿がなんとも和やかな気分にさせる。

 お店の空気を作る要素として一番重要だとも言える“お店に立つスタッフ”。木村さんが経営者として「それぞれの価値観はそのままで、でもLegareのルールやマインドはみんなで大切にしよう」と考えていることが何よりこの居心地の良い空気の正体であったと思う。無理に思考を変えたり、価値観の全てを合わせるということは誰しもが苦痛に感じることだろう。それぞれの個性は羽根を伸ばしながら、「お客さまとの信頼関係を大切にする」という「Legareの軸」はブレずにひとつのお店としてのチームワークが取れているという空間。それは容易につくりだせるものではなく、木村さんのように主観に偏りすぎず、“一経営者”としての立場になってまとめてくれているからである。


 今年は、様々なサロンを取材で訪問させていただくことができ、実際に様々な美容師さんの施術姿を見させていただく機会も多くあった。それぞれのサロン特有の空気感があり、それぞれの美容師さん特有の施術方法やカウンセリング方法がある。それを改めて肌で感じることができて興味深くもあり、お客さまとして「初めてサロンに足を運ぶときに感じる気持ち」を何度も経験しているかのようで新鮮でもあった。
 今回は「Legare」に初めて足を運ばせていただき、自分がお客さまの視点に立って考えてみた。最初に感じた「なんだか楽しく会話ができそう」で「のびのびと過ごせそうだな」という漠然とした気持ちが最終的には、「美容師さんとして信頼してお任せしたいな」になっているのではないかなと思う。
 それも漠然とはしているが、“サロンの持つ空気”はやはりお客さまに伝わるものであるし、どれだけ「このお客さまに喜んでいただきたい」「このお客さまの髪のことを理解したい」と思っているかは、それが相手に歩み寄るかたちであればしっかりと伝わるのだと実感した。そうしてきっとお客さまとしても、「無理なく自分の気持ちを表に出せる空間」がつくられていくのだろうと思う。

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