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LIKE IT! HAIR CATALOG JP THE ERCOMMENDED Vol.17 cocca

一枚の布から生み出される無限の可能性

HEARTSのスタイリスト松山絵美さんが「LIKE IT!」スポットに選んだのは東京・代官山にあるファブリックブランド、cocca。そこで今回はcoccaでテキスタイルデザイナーも務める齋藤周子さんを訪ね布の持つ魅力について、そして可能性について、あれこれお話を伺いました。

布に刺激されて  創作意欲が湧く

小学生のころに家庭科でエプロンをつくったのを皮切りに、布からモノをつくりだすことに魅了され続けてきました。美容師になってからも、作品撮りやステージでモデルさんに着用してもらう衣装をたびたび手づくりしてきました。自分でつくると既製品のように整ってはいないし、既製品を買ったほうが簡単で安かったりするのに、なぜか「手づくり」に惹かれてしまいます。生地の町・日暮里に行ったり、大きな手芸洋品店を覗くのは、もはや生活の一部。布を見ると触りたくなり、触ると何かをつくりたくなって……そんな日々の中で「手芸をする人の間で評判がいいお店」だと聞きつけたのが今回のcoccaです。
 布好き、手芸好き、手づくり好き……そんな私と同類の人たちを魅了するお店。そこには、どんな理由が潜んでいるのだろう? テキスタイルデザイナーでもある齋藤周子さんに興味津々で質問しました。

齋藤 周子さん

テキスタイルデザイナー
cocca企画

美大でテキスタイルデザインを専攻後、coccaに参加。まだ知られていない生地の魅力をより多くの人に知ってもらうため、さまざまなコラボレーションやイベントを企画。過去には、自身がデザインしたテキスタイルを使ったスカート、ワンピースを販売。今後、色を変えて再販予定。

布で彩りのある生活空間に

 代官山駅にほど近いcoccaは、そこだけがまるで高原の別荘のようなたたずまいの、2階建ての一軒家を改造した白いおしゃれな建物。扉を開けるとオリジナルの布地やそれから生み出されたアイテムがずらりと並び、どんなお客さまをイメージしてお店づくりをしているのか、とても気になります。
「布をライフスタイルに取り入れるのは、身近なようでいてまだまだだなと感じています。だから、お店は楽しそうな雰囲気を大切にしています。布を見て、柄を見て、色を見て、イメージをふくらませて生活に使っていただけたらと」

 実際に来店されるお客さまは、どのような方が多いのでしょう?
「年齢、性別問わず、さまざまな方がいらっしゃいます。多いのは、30~40代の女性ですが男性もランドスケープ プロダクツとコラボレーションしたラグを目当てにいらっしゃったり、プレゼントを探しに来てくださいますよ」
ラグは一見、織物のように見えてプリントなんですね。
「アフガニスタンの伝統的な織物をプリントで表現しているので、見た目は織物のような重厚感がありながら、織物よりは軽く、使う用途の幅が広いのが魅力ですね。私も家でベッドの横に置いています。床に敷いたり、ソファカバーにしたり、みなさんそれぞれに楽しんでいらっしゃるようです」

布の楽しみ方は、人それぞれ

いろいろな柄、色、素材…これだけの種類があると、見ているだけでワクワクしてきます。テキスタイルデザインは面白そうでもあり、大変そうでもありますが、斎藤さんはなぜ、この道を選ばれたのですか?
「もともと大学でテキスタイルを専攻していて、卒業後勤めた捺染工場でプリントが行われる様子を見て、目の前で生地が生み出されていく、そこに惹かれてしまいました(笑)。頭の中で思い描いているものが布になると、目の前の人に伝わっていく。店頭に立って、お客さまにそれぞれの布の特徴を伝えると、そのお客さまがそれを使って何かを生み出していく。布は、棒でも板でもないのでさまざまなものに形を変えやすい。そんなところに魅了されているのかもしれません」
 ほかにはない個性的な柄が特徴的ですが、お客さまの意見や要望を聞いて生地をつくることはあるのでしょうか?
「coccaで扱っている布は常時、数百種類。そのうちの半分はデザイナーとのコラボレーションです。デザイナーが思い描くものを生地に落とし込んでいます。残りの半分のオリジナルは、ギンガムチェックやドット柄などスタンダードなものが新鮮に感じられるようにデザインしています。お客さまからの要望を直接生地にすることはありませんが、どのようなものを求めてcoccaにいらっしゃるのかは、お客さまとコミュニケーションをとりながら、肌で感じています。今、私がはいているこのスカートは、私が自然からインスピレーションを受けて、山をイメージしてテキスタイルをデザインしました。ワンピースにして店頭に並べたところ、30代と70代の女性が購入していってくださったのですが、布も洋服もその人の解釈でいろいろな楽しみ方ができる。お客さまには、coccaでの出会いをお客さまなりに楽しんでいただければと思っています」

平面からつくりだすからこそ面白い

 coccaには、布だけでなく、布からつくられた洋服、小物、雑貨など、いろいろなものがあります。生地からつくるものを発想するのでしょうか? それともつくるものが決まっていて布を発想するのでしょうか?
「生地から考えています。布の平面から考え、生み出すことが面白いと思っています。この柄のよさを生かすには、どのような裁ち方をして縫い合わせをすればいいのか? どのようなパターンなら着やすかったり、使いやすかったりするのか? すべては生地が出発点です」
 先日、柄にひと目惚れしてこちらで傘を購入したのですが、同じ生地を使っていても柄合わせで印象がまったく違うのに驚きました。
「オリジナルの傘をつくり始めたのは7年前。今では毎年、図柄はもちろん、機能や形、持ち手のデザインまでこだわって数種類ずつ発売しています。いいなと思ったものは実際にさして、光に透かして見ることをおすすめしています。松山さんのように(笑)、すべての傘を開いて確認して、これぞ!という1本を購入されていく方も多いですよ」
 日中はサロンワークなので、通勤時間の30分ほどしか使わないのに、coccaで晴雨兼用傘を購入してから、傘の柄をコーディネートの主役にしたくて黒のワンピースばかり着ています(笑)。
「布の風合いや日本の気候も関係しますが、coccaではファッションブランドのように春夏や秋冬といった明確な打ち出しをせずに布をデザインしています。商品も布も、手にした人がどのように合わせるかは自由なのです」

「既製品を買ったほうが安い」を超える価値観

上質な織物や刺繍布地、ハンドプリントの布、クリエイターとコラボレーションした布など、ほかにはないセンスのある布地がそろっていますが、布を選ぶときのポイントはありますか?
「ないです(笑)。気に入ったものを手にとっていただければ。もしも柄や色が気に入った布と出会って、何をつくろうか思い浮かばなかったら、まずはカーテンのように部屋で吊るしておくといいですよ。それを見ているうちに『あ、この柄をクッションカバーにしたいな』とか『ワンピースにしたいな』とイメージが湧いてくると思います。お客さまからよく『この布は何用ですか?』と訊かれるのですが、布って使い方次第で本当に何にでも使えます。インテリアにもファッションにも何にでもイケます」
 自由だからこそ、迷って答えが欲しくなってしまうのかもしれませんね。
「そのような傾向はあるのかもしれません。反物を選んで仕立てるのが当たり前だった時代があったけれど、今はファストファッションの興隆もあって、気に入った布があっても何かをつくるのではなく『買ったほうが安いわね』と考えるお客さまもいらっしゃいます。みなさん手を動かす時間がないとよくおっしゃいますし、私も手を動かす時代はいったん終わってしまったのかなと感じています。でも『やらなければいけないことではなくなった』からこそ、手を動かし、手づくりのものを生活に取り入れる。それは、インスタントでは成し得ない、喜びを生み出すのではないかと思っているのです。モノがただのモノではなく、手仕事によって思いが託されたモノに変わる。自分で思いを託すこともあれば、誰かが思いを託してくれることもある。coccaでは、高い染織技術を持つ日本の職人さんたちの力と現代の日本のテキスタイルデザインを多くの人に伝えていきたいという思いで、布をそろえたり、2階で企画展を開催しています。手を動かす楽しさをcoccaを通して再発見していただけたらと思っています」

布から生まれる楽しみを見つけたければいざcoccaへ!

cocca

住所:東京都渋谷区恵比寿西1-31- 13
TEL:03-3463- 7681
営業時間:11:00~19:00
定休日:月曜日
http://www.cocca.ne.jp/

オンラインショップ

http://www.cocca.ne.jp/index.html
9月はお菓子研究家・福田里香さんとのコラボレーションで生まれたエプロン「esiliina by ricca+cocca」展を開催予定。

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